標高差:2,093m
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静岡県静岡市葵区田代
登り:5時間29分 (聖岳山頂まで)
下り:4時間21分(聖岳山頂から)
便ヶ島登山口
聖光小屋の駐車場で車中泊すると500円取られると聞いて、前夜は易老渡登山口の駐車場
で車中泊とした。 昨夜も満天の空であったが、今日も雲一つない良い天気である。 満月の為、
外灯が点っているほどに明るかった。 早朝の暗い内に便ヶ島の聖光小屋に移動する。
2kmの道程ではあるが林道は落石が多く、車の底を摺らないか冷や冷やしながらの走行となる。 聖光小屋にて車中泊で有料なのはキャンプ場の駐車場だけで、聖光小屋の綺麗な駐車場に車を
停める場合は無料の様である。しかし、トイレはキャンプ場の方にしかない。
トータル:10時間36分(奥聖岳往復、休息時間含む)
深田久弥著の「日本百名山」から
聖岳が何か世俗を脱した高潔な山のように思われるのは、その名前のせいだけではない。
それは日本アルプス三千m峰としては最南端の僻遠の地にあり、容易に近づきがたいという
印象からもきているのだろう。 日本の高峰中で一番登山者の少ない山かもしれない。
便ヶ島 |
西沢渡 |
1/2の地点 |
苔平 |
薊畑 |
小聖岳 |
聖岳 |
奥聖岳 |
5:20 |
5:55 |
7:10 |
−−− |
8:56 |
9:53 |
10:49 |
11:10 |
奥聖岳 |
聖岳 |
小聖岳 |
薊畑 |
苔平 |
1/2の地点 |
西沢渡 |
便ヶ島 |
11:20 |
11:35 |
12:17 |
12:58 |
13:41 |
14:20 |
15:20 |
15:56 |
聖光小屋から道路を挟んで反対側にあるキャンプ場の炊事場と
奥にはトイレ有り。 トイレは50円の寄付金箱があるが、
照明もあり中々綺麗だった。
便ヶ島にある聖光小屋。 舗装された広い駐車場があり10台程が車を
停めていた。 駐車料金を徴収されるかも知れないので小屋には近付か
なかったが、小屋は営業していない様に見えた。 ここの標高は920m。
5時20分、まだ暗い中、月明りを頼りに出発する。
登山口は駐車場に隣接しており、登山届けのポストもしっかりしている。
歩き始めて直ぐにネットで良く見る林道のトンネルを通ることになる。中は暗過ぎて水溜りもあるようなのでヘッデンを出して通る。
今は遊歩道と謳っているが森林鉄道の軌道跡らしい。
勾配の無い歩き易い林道を進んでると沢を渡る
橋が現われ、その沢には名も無いが綺麗な滝が
落ち込んでいた。 かつら沢の滝にはピンクの
テープでマーキングがあり、沢登の対象になっ
ているものと思われる。
右手に水量の豊富な遠山川の渓谷を見ながら、ウォーミングアップ
としては最適な林道歩きであるが、30分程で西沢渡の終点となる。
林道脇に沢山咲いていた ”フジアザミ”は終盤の様であるが、
中には元気に咲いている花もあった。
西沢渡から一登りして、1時間丁度で営林署の廃屋に着く。
一見、しっかりしている様に見えたが殺伐とした気持ち悪い位の
廃屋であった。 登山道はこの右手をすり抜けて行く。 小屋の裏
には一升瓶が散乱していたので作業小屋だったのだろう。
”易老渡”からの登りと同じくシラビソ林の中ではあるが、
樹林の密度が薄く、周辺の山々は結構見えた。
1時間50分の地点に ”便ヶ島〜聖平の1/2”の表示がある
地点に着いた。 2時間近く歩いて、聖岳でなく聖平までの半分
しか来ていない。 ここまで頑張ったのに力が抜けていく。
1時間17分にて大したことは無いがちょっと危険そうな崖っぷちの
道となり退屈さを間際らしてくれた。 左手には垂直の凄い岩峰が
見えるがそこを通ることはなかった。
3時間36分を要して ”薊畑(アザミバタケ)”に着く。
ここで一気に展望が開け、周辺の山々が全て見渡せた。
アザミが一面にあるが既に霜にやられたのか、枯れ草となっている。
林道にはまだ咲いていたので高度差を感じる。
ここには沢山のザックがデポしてあった。 空荷で ”聖岳”に登っているんだろう。
樹林帯に覆われた辛く長い登りではあるが、時折、 ”光岳”の山容が見えた。
登ってみても面白い山ではなかったが、眺めて見てもピーク感の無い普通の山である。
ガレ場を登って4時間33分にて ”小聖岳”に着く。
後に聳える前聖岳は雄大であり圧巻であるが、これから登る身には不安も混ざってくる。
薊畑より小聖岳と聖岳を仰ぎ見る。 気温は9℃と低いが日差しが強いので暖かくて
気持ちが良かった。 小春日和の中、大福餅を朝飯として10分休憩する。
周辺にはデポしたザックが点在している。
”聖岳”へ続くヤセ尾根は両側が急峻であり、落ち込み
は凄い。 水場を過ぎるとガレ場の急登となる。
昨日も ”光岳”から散々見させてもらった ”富士山”であるが、
山頂部だけの冠雪は寂しかった。
振返れば ”上河内岳”(2,803m)の大きな山容が聳えていた。
多くの人は ”光岳”から ”上河内岳”を経由して聖岳に登っている様だ。
登って来たヤセ尾根を振返り見る。 危険箇所はないが中々スリリングな道であり楽しく歩けた。
やはり高山帯に抜けると気分が良い。 山歩きはこれでなくては!
沢山の人が下山して来る。 登りの人影は無い。
この崖っぷちには岩盤の途中から水量は少ないが滝が流れ出している。
その水脈と同じと思われる水場が登山道横にあるが、
水場まで行くにはかなり危なっかしい。
前日の ”易老渡”からの登りに匹敵する程の急斜面が続く。
10時49分、5時間29分で ”前聖岳”(3,013m)に着く。
山頂にはアマチュアカメラマンが一人残っていた。 山頂に立つと
真正面に赤岳が聳えていた。 御嶽山から乗鞍岳、穂高のラインは
真っ白に冠雪している。 どんぶりを伏せた様な恵那山も見て取れた。
この日、突然の降雪の為、北アルプスでは6名の死者が出たらしい。
35分で西沢渡の有名なゴンドラに着いた。 一人でゴンドラに乗る
のもバカらしく思えたので渡渉しようと思ったが、水量が多く危なくて渡れたものではなかった。 仕方なくゴンドラを一人で引くことにする。
雑 記
下山時、小聖岳で休憩しているおじいさんと会い、シャッターを押してくれと頼まれた。それを
きっかけに少し話し込んだのであるが、その中で塩見岳の話しとなり、おじいさんが言うには
鳥倉林道からなら簡単に登れるらしい。 それなら会社を休んで明日、行くのも有りかなと考え出す。
絶対に聖岳より光岳の方が楽に登れると思っていたが大きな間違いだった。 楽な光岳を登って足慣らしをして三千m峰の聖岳に挑むと言う作戦は完全に間違いであったが、それが功を奏してくれた。
詰まらなくきつい光岳を先に登ったお陰で聖岳の評価は随分格上げされた。 西沢渡のゴンドラは登り方向は楽に引っ張ることが出来たが、下山方向は重たく、女性一人では難儀する感じがした。
フジアザミの生える林道も気持ち良く歩け、塩見岳をどうしょうかと考えながら下山するが、会社をサボるのもなんだし、結局、次回に見送ることにした。
登山道で時間を聞くのは無意味
登りの人とは会わなかったが、泊りで下山してくる人が数組が居た。 挨拶代わりに
「薊畑まで後どれくらいですか?」と聞くと、最初の人は「後、1時間ちょっとですよ」と
教えてくれた。 それから30分経って下山者に聞くと「後、1時間かな」、更に30分後に
聞くと「後、1時間は掛かりますよ」との返答。 1時間登っている間、いつまで経っても
残りは1時間だった。
正面の赤石岳の後には荒川岳、塩見岳、間ノ岳、北岳が聳えているはずであるが、赤石岳に邪魔されて特定出来てない。
赤石岳山頂の避難小屋を含め、百間洞、赤石小屋は肉眼では良く見えた。
このどちらかの小屋に泊り、赤石岳登頂になるのか。
山頂で三脚を構えてじっと動かないカメラマン。
聖平にテントを張っていると言うので夕暮れまでは粘るつもりでいる様だ。
聖岳山頂から赤石岳と奥聖岳を見る。
奥聖岳は随分近そうに見えたので行ってみることにする。
奥聖岳から上河内岳に続く光岳を見る。
その後の山々の同定は出来ていない。
ケルンのある ”奥聖岳”(2,978m)に着く。 聖岳からは15分程の
距離であるが、下りが急峻でデンジャラスな道だった。
ここから前聖岳を見るのも良いものだった。
”前聖岳”に戻り途中に見付けた ”ガメゴン岩”。
俺が見付けたと叫びたいが皆な気付いているんだろうか?
”奥聖岳”から振り返り ”前聖岳”を見る。
この道は急峻部分とフラットな部分があり、中々楽しめた。
薊畑〜西沢渡の樹林帯は兎に角、歩き易い道である。
易老渡〜易老岳は石が多く、滑り易い道であったが、
登山道でも ”光岳”に差を付けてしまった。
西沢渡に下りた時、登山道の真ん中で ”マムシ君”が日向ぼっこを
していた。 昨日は ”光岳”で黄色いヘビ君を見ている。
小さな滝が上流から5段に渡って落ちてくる綺麗な無名滝。
沢登りの対象になっている緩やかな滝。
尾根筋の下山道 (登ってきた道)を見る。
最後まで晴れてくれた ”前聖岳”を振り返り見る。
『日本百名山』 登り一方のロングコースではあるが比較的楽に登れるコースだった。
2006年の南アルプス遠征
ひじりだけ
登山道は細いながらもしっかりと付いていた。
薄日が射す樹林帯の中、登山道が続く。
一見、険しそうな尾根道に見えるが、登りも下りも
危険個所は無かった。
ひと息付ける ”小聖岳”まで戻って来る。
大展望の快適なナイフリッジである尾根道を下って行く。
2023年12月30日改定